広い視野で物事を捉え、あらゆる手段を模索しながら在るべき体験をつくる。
ときどき「自分にとってのUXデザイナーとは何なのか?」ということを考えたりする。そんな中で思うことの一つとして、どれだけ広い視野で物事を捉えることが出来るかということが挙げられる。色々な分野に目を向け、出来るだけ深く理解することが大事だなと。ただ、そうやって知識の引き出しを増やすのは良いと思うが、その知識を最大限活かすために、様々な手段で実現できる力が大事になると思う。様々な体験を創り出すために、UXデザイナーは様々なアプローチやスキルを身につけることが必要だと思う。
様々なプロジェクトを体験し、視野とスキルを広げる。
大学時代を振り返ると、実はプロダクトデザインからスタートしたが、プロダクトは製品のカタチだけでなく、UI面の設計も必要だった。その流れで、UIやUXをより深く学ぶようになり、Adobe系のソフトを活用しながら、気がつくとスマホなどの画面UIや映像などを制作するようになっていた。
また、所属していた研究室では、UXやHCD、デザイン思考などの文脈に関連のある手法を様々に実践していた。そのため、ペルソナやシナリオ、カスタマージャーニーマップといったアプローチはもちろん、当時ではビジネスモデルキャンバスやストーリーテリングなどといったこともプロジェクトに取り入れながら挑戦していた。
そしてロフトワークに入社してからも本当に様々な会社の方々と多様な領域の仕事をさせていただき、すでに30件を超えるプロジェクトに関わっている。
こうして様々なプロジェクトを体験してきた結果、視野やスキルが広がり、プロジェクトデザインのアプローチが多彩になってきたように思う。そして、各プロジェクトに対して、より本質的な問いから何をどう制作すべきか考え、プロジェクトデザインを行えるようになったと感じる。
そのようなことを経て実感していることとして、制作においても、UXにおいても、ある程度のフレームワークである意味プロジェクトを一通り実施・完了することはできるが、それだけでは様々な企業における独自の課題やオリジナリティあるアウトプットを見い出すことは難しいように思う。
本来あるべきビジネスとユーザーの関係性をUXの視点からデザインしていくためには、幅広い視野とスキルが必要不可欠になると考えている。
本来あるべきプロジェクトへとデザインする。
現在は、様々なプロジェクトに関わったことで得られた視点やスキルを駆使し、より良いUXを実現するために、各プロジェクトでどのようなアプローチをすべきか自然と考えている。
例えば、ユーザーへのインタビューを実施するとしても、そもそも企業のビジネスにおける強みは何か?といったことなどを考慮し、それはユーザーとどのようにマッチングするかも含めてリサーチを行っている。ユーザーの価値観を理解するとともに、ビジネスにおけるユーザーとの接点の在り方を常に模索する必要があると思う。
また、UXやビジネスなどの課題を本質的に解決するために、依頼されたものを単に制作するだけでなく、ほかの様々な施策も含め、常に模索するようにしている。
例えば、Web制作の依頼を受けたとしても、Web以外のタッチポイントを含めた施策を模索する。そもそもサービスの認知やWebの流入をどうすべきかという問いがあるとすれば、そのための施策としてWeb以前に紙媒体やメディア・SNSとの連携も含めて考える必要がある。
また、最近では制作物に止まらず、ユーザーやコミュニティのような人と人のコミュニケーションの在り方を模索することがUXにおいて重要な視点になってきていると思い始めている。
プロジェクト同士を繋ぎ合わせる可能性を模索する。
一方で、これまでに行ってきた様々な分野の視点を活かし、独自の視点でプロジェクトの方向性を模索できればと考えている。
例えば、ヘルスケア、医療、福祉、ウェアラブル、AI、ロボットといったプロジェクトを行ってきた結果、それらを複合的に考え直すと、「未来のヘルスケアにはどのような可能性があるのか?」ということを考えてみたくなる。
予防医療という概念があるが、これまでのプロジェクトでの知見を掛け合わせると、「常に高齢者の健康状態を見守るウェアラブルデバイスがあった場合、高齢者がいつまでも自立しながら生活を送るためには、どのようなAIのサポートがあり得るか」といった問いを考えることができる。
今後も様々なプロジェクトを通じて知識の引き出しを増やしつつ、幅広い視野で物事を捉え、あらゆる手段で本質的なUXの在り方を模索していきたい。
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